活動&報告

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2023労福協役員視察研修 1日目

2023年12月3日・4日の2日間、2年に1度恒例の労福協役員視察研修を実施しました。世界遺産の活用や循環型社会をテーマに、富岡製糸場では世界遺産としての活用・課題を視察し、上野村ではバイオマスの有効活用による循環型社会の構築への取り組みを視察することで、労福協役員の知見を広げ、労福協活動の促進や発展、行政への意見反映等に役立てていく事を目的としました。

朝8:30に集合場所のろうきん富士宮支店を出発すると、11:45に富岡に到着しました。
初日は2014年にユネスコの世界文化遺産「富岡製糸場と絹産業遺産群」に登録された富岡製糸場を見学しました。富岡製糸場は敷地全体が国定指定史跡で、国宝や重要文化財となっている建物が集まった文化遺産の宝庫でした。 建造物だけでなく、長い歴史を物語る貴重な資料もあり、歴史好きや建築好きならずとも、日本の近代産業のロマンに気持ちが高ぶりました。

明治政府が産業や科学技術の近代化を進めるにあたり、外貨獲得のため、力を注いだのが生糸の輸出。そこで、古くから養蚕が盛んで広い土地と豊かな水のある富岡が注目され、1872(明治5)年、この地に官営の製糸場が建てられました。
設立指導者には生糸技術者ポール・ブリュナをはじめとする、10人ほどのフランス人を雇い、近代的な製糸技術を導入。同時に製糸場で働く女性の募集をかけたのですが、これが一向に集まらず。その理由がなんと、フランス人が飲む赤ワインを日本人が「生き血」と疑い、「富岡製糸場へ行くと外国人に生き血をとられる」という、今では考えられないようなデマが流れたためでした。
やがて政府によりデマも打ち消され、無事に工女も集まり操業がスタート。創業当時の工女たちの平均労働時間は約8時間で、毎週日曜はお休み。食事は工場側が提供し、敷地内には寄宿舎や診療所も完備という好環境。女性の社会進出の先駆けをいく工場でもありました。
その後工場は民間に払い下げとなり、1939(昭和14)年には片倉製糸紡績と合併して「片倉富岡製糸所」に。1987(昭和62)年の操業停止までの115年の間、製糸場は稼働し続けました。
富岡製糸場の最も大きな特色は、140年以上前に造られた建造物群が、創業痔の姿を残したまま保存されている点です。世界遺産以外でも富岡製糸場に匹敵する近代的製糸場は現存しないとされています。

世界遺産の登録からもうすぐ10年となる富岡製糸場は、入場者数が2022度はおよそ31万人と登録された2014年度の5分の1ほどにとどまるなど低迷が続いているほか、老朽化した施設の修理や整備も遅れ、節目の年を前に課題が浮き彫りとなっています。
富岡製糸場について、県は「施設の保存・整備と活用の方法を抜本的に見直す必要がある」としています。入場料収入の一部や寄付金などを原資として「富岡製糸場基金」を設けているようですが、多額のランニングコストもかかり、財政面における課題も多そうです。